米ニューヨークタイムス誌でトレンドファッションの写真コラムを長年担当しているビル・カニンガム氏のドキュメンタリーです。
以前何かの雑誌でカニンガム氏の存在を知り、そのドキュメンタリー映画がアメリカで公開されたと知ったときは日本での公開を今か今かと待ちわびていたのに、なんだかんだと都合がつかず、ようやく観ることができました。
神様にピックアップされたんではないかと思うようなおじいちゃん。職人気質だけど最高に朗らか。青い作業員風ジャケットで自転車に乗って、ニコニコしながらも通りを歩く人を上から下までジロジロ観察して無断でバシャバシャ写真を撮っちゃうの!すごい早さで。知らない人はびっくりするよね。でもそのスタイルでずっとやってこられたんだからニューヨークって素敵。
インタビューの中で「ファッションが何の役にたつのかと否定する人もいる。ファッションとは…」と大きくためたあと、「日々を生き抜くための鎧だ」って言ってたのに驚きました!ずっと前にfifiのマキさんから「桃子さんはね、ファッションは鎧だ!って言うんだよ」と聞いてたから。そして先日桃子さんに会った時にもまったく同じことを聞いたばかりだったから。
私はファッションは自己満足だと思っていたけど、fifiに通うようになってからは最大の自己表現ツールとして使うべきだと思うようになりました。口ベタだからさらにね。
もっとアグレッシブにファッションを使うと、自己主張したり周囲からの印象をコントロールしたりすることができる。ファーストレディーとかね。まだまだ私はそこまでいかないかな。
でも、自分を素直に表現することは自分らしく生きるために不可欠だと思うから、自分に正直な身なりでいたいと思う。とんちんかんな格好だとしても。
裏返せば明確に自分をあらわす身なりは、自分と合わない人、もっと言ってしまえば自分の人生に不要な人と、誤って関係を作ろうとしてしまうというムダな努力を防げるの!
キツい表現になってしまいましたが…。けど価値観は人それぞれ。違う価値観を持つもの同士がお互い合わせよう、理解し合おうとしたって、どちらも自分らしさを失うしいいことないよね!自分と価値観(日本人の常識とかそんなんじゃなくて、何を大切に思うか、というところ)の合う仲間をいかにみつけるかが人生の楽しいところだと思うもの。やべー、こんなマニアックなこと共感できる人がいるんだ!みたいな。
あ、でも仕事や義務教育中は別。世の中には様々な価値観があるんだということ、違っていていいのだということ、みんなで共存するにはお互い尊重しあうことが大切だということを学ぶ場ですからね。
話が飛躍したけど、ファッションは武器でもあり防具でもあるのね。だから鎧。戦場に出る準備。
ニューヨークみたいな多種多様な人たちが混在する場所で国籍や肌の色に関わらず自分の仲間を見つけるのには、ファッションが大きな役割を果たすんでしょうかね。
ニューヨークで暮らすってどういうことなんだろう。旅行で行った時は、ここなら住めるかもなんて思ったけど甘そうです。東京で働くのとどう違うのかな。
…と、さらっとしたドキュメンタリーなのにここまで考えさせる映画。歳を重ねた人ってほんとに興味深い!